溶融炉

AUSMELT 方式の溶融炉

特 徴

AUSMELT方式の溶融炉は1981年にAustralia のDr. John Floydによって錫精錬用に発明されたTop Submerged Lance(TSL) 方式の溶融炉が基本になっている。この方式は必要な燃料や燃焼空気及び助剤等をLance Pipe (吹管)によって炉内に吹き込む方法を使用している。製鉄転炉の予備精錬や非鉄金属の転炉精錬に使用されているLance技術と同類のものであるが、Lance Pipe (吹管)の先端を炉内の熔体中に潜行させて燃焼させる方式である。この衝突燃焼にも似た方法がAUSMELT最大の特徴であり各国の特許を取得している。

溶融浴のレベル以下に潜行して噴出する燃焼ガス流によって起こる強烈な物理的攪拌作用により、必要な熱移動や化学反応が迅速に行われる。この特徴による利点は溶融炉が小型化され経済的なコストでコンパクトな配置が可能となるばかりでなく、吹き込み助剤の調節により還元、酸化等の雰囲気調整が容易なので、広汎な化学反応に対応できる点である。

冶金分野では非鉄精錬残渣の溶融処理に多用され、最近では銅や鉄の鉱石からの直接精錬法として応用されている。環境分野では米国コロラド州デンバ−市で実施した都市ごみ焼却灰の溶融処理テストで米国のTCLP基準に合格し、2001年末には韓国Seoul - Mapo地区の大型都市ごみ焼却プラント( 規模1000T/D)における焼却灰の溶融処理用に採用された。 AUSMELT 方式の溶融炉は、廃電池や廃携帯電話等の溶融処理法などにも応用されている。

 
構 造

竪型炉体は、耐火材で内張りされたシリンダ状の密閉構造である。炉上部には、原料供給口、排ガス口及び燃料供給管(Lance)挿入口のほか観察孔が設けられている。炉底には溶融スラッグ及び溶融金属の排出孔が設けられ炉体の外壁表面は水冷されている。多重管で構成されたLance本体は、懸垂装置で吊下げられて炉頂上部の挿入口から炉内に挿入される。Lance管表面は溶融スラッグが固着して保護されるが、先端は定期的な補修が必要である。

排出孔から連続的に排出される溶融スラッグは、通常ドラッグコンベヤ―付の水槽で急冷されてサンド状に水砕される方法がとられている。溶融金属は定期的に炉底から排出して再利用される。炉頂から排出される1200~1,250℃の排ガスは水冷により200℃以下に急冷してバッグフイルタで除塵されるのが一般的であるが、排ガスの組成により必要に応じて湿式洗浄装置を付属させる。又プラントの規模に応じて排ガスの顕熱回収を目的とした高温空気熱交換器や廃熱ボイラ−等の使用も可能である。

利 点

1) 高い熱効率が得られ溶融炉本体が小型化されるので設置面積が少なくてすむ。 TSLの強烈な撹拌で加熱速度が速く、小型でも溶融能力が大きいのでコンパクト化が可能。 

2) 低発熱量の燃料でも使用が可能である(微粉炭、重油、廃油、油スラッジ、燃料ガス)。 PSAによる酸素冨化空気を燃焼空気としてLance に使用し排ガス量の削減も可能である。 

3) Lanceによる炉内雰囲気の調整が容易であり、炉内の酸化、還元が自由に選択できる。 溶融と同時に重金属類を分類する予備的製錬操作ができる点が本方式の優れた利点である。

再資源化

一般廃棄物の焼却飛灰や焼却残渣及び産業廃棄物の熱分解残渣の最終処分はダイオキシン類や重金属類の無害化処理に費用が嵩むばかりでなく、埋立地の不足から、減容効果のある溶融法が主流になってきた。本方式による溶融法は残渣の無機質成分を溶融してガラス状にスラッグ化し、減容化と同時に重金属類を分類回収して再資源化するプロセスである。

焼却残渣や熱分解残渣の場合、溶融炉内雰囲気の調整により還元揮発性の亜鉛、鉛、カドミウム等は容易に還元揮発して金属ヒュームとなり排ガス中から酸化物として回収される。 溶融した金属成分の中で酸素との親和力が弱いクロム、銅、ニッケル、金、銀は炉底部の溶融金属浴に捕集され、酸素と親和力が強いアルミニュウム、チタニュウム、マグネシュウム、カルシュウム等は酸化物となり無機成分と共にスラッグ化され建材に再利用される。


 

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